社会人研究者について

働き方

こんにちは、ノブです。今日は社会人研究者についてです。企業や研究機関で給料をもらって研究をします。私もコレに該当します。

責任の重さ

社会人と学生の違いの1つ目は責任の重さでしょう。一定期間内に目に見える結果を出さなければなりません。毎月、進捗報告書の提出が義務付けられていたり、半期ごとに上司との目標到達確認の面談があったり、所属によって形態は違いますがチェックが入ります。

また、事故に対してもかなり厳しいです。職務中の事故は労働災害として扱われる可能性もありますし、火事が起きれば近隣住民からのイメージダウン→研究所立ち退き運動へと発展する可能性もゼロではありません。悪いイメージは会社の株価にも影響します。

そのため、実験を行う際にはルールの遵守が求められ、常習的犯的に守っていない場合は罰則(給料の減額~最悪クビ)も有り得ます。社会に出てから慌てないよう、学生の皆さんは保護メガネを普段からかけるクセを着けましょう。

研究者の安全を第一優先としたり、企業イメージに傷がつくのを恐れたり、株価への影響を配慮したりと、大学とは着眼点が全く違います。

研究者の時間の価値が高い

学生の間は、何時間研究室にいても「風邪ひくなよ!」と教授に言われる程度でした。社会人は違います。長時間労働はできない制度があります。昨今の長時間労働問題や関連する過労死問題から、特に厳しく取り締まられるようになってきているのではないでしょうか。

私の職場でも「長時間働いている=頑張っている」という評価には絶対になりません。むしろ「仕事効率の悪い人」というイメージです。早く帰ってるのに仕事の質や量が安定している人の方が凄いです。

そのため、時間のムダ使いはできません。一般企業のサラリーマンより企業研究者は高い賃金を貰っていることが多いので、経営者は研究者の時間のムダ使いが許せません。

研究者がやらなくても、専門的な知識がなくてもできる仕事であれば外注(パートさんにやってもらったり、業者に任せたり)します。

例えば殆どの大手企業では実験器具の洗浄や消耗品の発注、大型機器の運搬、部屋の掃除やごみ捨ては研究者がやる必要はありません。高い給料払ってるのにガラス器具洗ってるんじゃない!誰にでもできるだろ!お前にしかできない仕事をしろ!ってことです。

また、機械に任せられることは機械にやらせます。大量に化合物を製造している工場では、原料の入ったドラム缶を自動で運搬してくれる配送車が活躍しています。

研究室レベルでも自動分取装置、つまり自動でカラム精製をしてくれる装置が普通にあります。有機化学者の友と言うべきエバポレーター(溶媒濃縮装置)も、自動で突沸を防止してくれる装置があります。一度に多くの化合物を試験管で濃縮してくれる吹付け装置というものもあります。

これらはセットして放って置けば作業が終わるので、その間に他の仕事ができます。また、昼休みや夜中でも機会をセットしておけば自動で仕事をしてくれます。機器購入にかかるコストより、研究者の時間は貴重なのです。

私も自分がしなくてもいい仕事はしない、という方針で働いています。この辺は「最善の問題解決方法」という仕事効率化のテーマでそのうち記事を書こうと思います。

研究員に投資してもらえる

よりレベルの高い人材を育てるため、企業は研究者にかなりの投資をしてくれます。

限度はありますが、正当な理由や希望があれば国内&海外の学会や有料のセミナーにも参加させてくれます。もちろん移動費や宿泊費も会社が払います。さらには留学や自己学習のための資金援助をしてくれる会社もあります。つまり学生とは違い、会社のお金で勉強ができるのです。もちろん結果が求められますが。

個人プレー厳禁

研究テーマには数人のチームで取り組むことが多いです。学生の頃は自分のテーマは1人で担当することが多かったと思いますが、 1つの商品・製品を世に出すために数人~数十人の人間が担当となり仕事を分担します。

多様な試作化合物の合成を担当する人、大量合成を担当する人、化合物の性能を評価する人、安定性を評価する人、マーケットの調査、販売戦略、販路の確保などなど、1つの製品に対して学生が行っている研究では考えられないくらい多くの検討が行われます。

1人の作業の遅れや失敗が全体の遅れに直結するため、締め切り厳守は当然です。また、チーム内の連携がうまく行っていないと問題が発生しやすくなるので、社会人としてのコミュニケーション能力が必要となります。チーム内に海外のメンバーがいると英語でやりとりする能力も必要です。

学生時代は自分の専門知識を深掘りして狭く、深く学んだと思います。社会に出てからは色々な専門家と関わる=色々な知識が必要になる、ということで学生時代より浅く幅広い知識が必要になります。ただ、かなり広範な知識が必要なため、勉強量は社会に出てからの方が圧倒的に多いです。

まとめ

以上、社会人研究者についてまとめてみました。社会人は重要視する点が学生とは全く違います。夜遅くまで研究室に残っている人はあまりいません。

また、学生の頃以上に学ぶことが沢山あります。現在学生の方は「大変そう」と感じたかもしれませんが、研究者ではなくとも、どんな職についても社会に出てから沢山のことを勉強する必要があります。

その点、既に研究を行っている学生の方は普段から勉強する習慣ができていると思います。その分、社会に出てから新しい知識を学ぶことへの抵抗は少ないのではないでしょうか。その代わり、コミュニケーション能力を磨きましょう。TOEICで満点を取るより、海外のメンバーとの飲み会で笑い話をするほうが遥かに難しいです。(私はTOEIC満点なんて取れませんが。)

化学者の分類についてはこんなものでしょうか。そろそろ、仕事効率化、キャリアプラン、育児や家庭のこと、資産運用など、研究者の生き方について記事を書いていこうと思います。

ノブ

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