学部生、マスター、ドクターの違い

化学

こんにちは、ノブです。今日は研究室に所属している学生の中で、どのような違いがあるかです。研究室ごとに違いがあるでしょうから、あくまで「私の場合はこうだった」という前提でお読みください。結構な長文になってしまいましたが、もちろんもっと厳しい or ゆるい研究室もあります。

学部生

たいていの理系の研究室は学部の3年 or 4年から配属が始まります。約1年後の卒論発表会に向けて研究を行いますが、始めの1~2ヶ月は研究室の生活に慣れるだけで終わってしまうことが多いでしょう。

私も配属当日に「今日は初日だから19時頃には帰っていいよ」と先輩から言われて衝撃を受けたことをはっきりと覚えています。それまでどんなに遅くとも17時には授業が終わって、フラフラと遊んでるような生活でしたからねー。

基本的には教授陣の定めたテーマに従って研究を行いますが、危険な作業も少なからずあるため慣れるまでは先輩の大学院生が指導を行い、進捗も丁寧にチェックします。言わば研究の練習期間ですね。研究に関する相談にも親身になって対応してもらえることが多いのではないでしょうか。

夏休み(とされている)期間には、大学院試験のための勉強を行います。私が受験した大学の研究室は、上下巻セットの有機化学の教科書をきちんと理解しながら2周すれば受かる、と言われていました。

他にも英語と選択科目の試験があり、12時間/day位は勉強していたように思いますが、研究室の生活よりは楽と感じていたように記憶しています。私の回りでもそんな感覚が普通でした。

厳しい生活のように見えるかもしれませんが、研究室側からしてみればお客さん扱いで、大切にされていることが多いです。研究者を目指す学部生の殆どは大学院へと進学します。

マスター(修士課程)学生

ここからは大学院生になります。大学院試験をパスした、一定の知識がある前提のメンバーで構成されます。

基本的には学部生と変わらず、教授陣の定めた研究テーマを受け持ちますが大学院生として、知識の足りない学生は教授陣から責められますし、仕事の結果も求められます。1人前の研究者となるため、厳しい修行を行います。

また、私が学生だった頃は就職する学生はM1(マスター課程1年、つまり修士課程の1年目)の秋頃から就活の準備が始まっていました。(現在はスケジュールが変わっているようですが。)もちろん研究の進捗具合によって就活中にできる話も変わってきます。

つまり、修士課程は1年目から計画的に動かなければなりません。研究も勉強も、将来に向けた活動も。個人の努力によって将来に差が出るとしたら、M1でいかに頑張るかが1番大きなファクターだと思います。

ドクター(博士課程)学生

さて、最高学府である大学院の最高学位取得コースである博士課程です。大体は2年~3年所属します。日本では「ドクター?ふーん、凄いね」というあまり高くない評価が一般的なように思いますが、海外ではホテルのチェックインの記帳の際に「Mr, Ms, or Dr」と明らかに別格で扱われてたりします。

就職してからの待遇も全く違います。給料が始めから高いのは当たり前ですが、海外では博士学位保持者はオフィスに個人専用の部屋を与えられたり、昔は学会で特別なランチへの参加資格が与えられたりしました。

さて、私が学生だった頃から存在する、博士に関する創作童話がありますが、調べて驚きました。元サイトがまだあるんですね。youtubeに動画もあるようです。

博士(はくし)が100にんいるむら

私もこの童話を先輩から見せられました。博士課程の入学試験に受かった日に「おめでとう」というコメントと共に。

この童話の最後のオチはともかく、ドクターコースの学生はきつい日々を送ります。後輩の面倒を見るのは当たり前、研究室の雑用をやったりスタッフの代わりに試験監督として駆り出されたりします。

場合によっては研究内容や方針も自分で決めます、結果が出なければ教授からは責められ、後輩からは白い目で見られ・・・。

とある先生から実際に言われたことですが、「学部生は研究室に1日12時間いれば良い。マスターは15時間いれば良い。ドクターは気が済むまでいれば良い。

つまり、全て自己責任の立場です。結果も出して当たり前、結果をまとめて英語で論文書くのも当たり前、後輩の指導もして当たり前、将来の身の振り方も自分で決めて当たり前。やり方は本人に任せる。ご想像の通り、ストレス半端ないです。

特に進路についてはドクターだろうと初めての体験。就職するのか、留学するのか、研究に身を捧げるアカデミアの道を模索するのか、全員のやり方が異なります。きついです。

ただ、この3年間を乗り切ったドクターは学位とともに得るものがあります。「自分はあんなに厳しい期間を乗り切ったんだ」という自信と基準です。

大学院を出てからもきついことは多々ありますが、「あの頃に比べたらマシ」という心構えは大きな支えとなります。私は「あの頃」という決して低くない基準が、ドクターコースの一番のご褒美だと考えています。

まとめ

いかがだったでしょうか。現役の研究者や大学院生には当たり前の話だったかもしれませんが、研究者を目指している方や理系大学生の参考になれば嬉しいです。

今マスターの方でドクターコースに進むか迷っている方もいるかもしれません。将来、研究者になりたのであれば私は博士課程進学をオススメします。とてもきついですが、得るものも非常に大きいです。

ただし、日本国内(特に大手企業)で職を見つけるのは難しくなってきています。海外に進出することも視野に入れ、というかむしろ将来のチャンスを掴むために海外に飛び出すつもりで進学することをオススメします。

私の認識はおそらく古くなっていますので、自分の周りではこうだ!というご意見がいただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

さて、残るは社会人研究者についてですね。近日中に書きます。お楽しみに。

ノブ

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